カタカナ文化

「「セリング」ってなんですかね?」

打ち合わせが終了した後、後輩が聞いてきた。

「あぁ、「売ること」「販売」のことかな。「販売方法」みたいな意味で使う事もあるよ。」と答えながら、 ちょっとした違和感を覚えていた。

おそらく入社してまだ日が浅いセールスさんだったんだろう。

コンサル、ベンチャー界隈でよく使われる横文字を多用して、自信満々に説明していた。

後輩はとても素直な性格なので、「あの歳でよく勉強していて、頭いいですね〜。」   と無邪気に感想を述べている。

「ああ、そうだね〜。」と相槌を打ちながら、この違和感について考えていた。

思索にふける型の人間は、そんな素直に受け取れないのだよ。厄介なことに。(笑)

ビジネスシーンでやたら増えてきている横文字。

中には海外から持ち込まれた概念で、日本語にするには難しいものも少なくない。

「コンプライアンス」とかね。

単に法令遵守という意味合いを超えて、企業としての社会通念への適合、的な意味合いもあったりする。

一言でそのものをあらわす日本語がない。

「ハラスメント」などもそうだ。

表現しづらいから、単語そのままを持ち込んだ。

このパターンは、世間一般にも受け入れられている単語も多い。

市民権を得ていると言える。

一方で、特定の業界内で共通言語のように使われる横文字もある。

「セリング」「バイイング」「エビデンス」「ピボット」「アントレプレナー」等々。

コンサル界隈やベンチャー界隈ではよく使われる横文字。

数え上げればきりがない。

「販売」「購買」「証拠」「方向転換」「起業家」。

日本語でも対になる単語がちゃんとある。

特定の業界、集団内で共通言語として横文字が使われているのは、こっちのパターン。

視座を高く、視野を広くとると海外を見据えることになる。

IT界隈、特にベンチャーはまだまだ海外の動きが早い。

それについていくために、積極的に海外からの知見やコネクションを集めていった結果、英語をそのまま使う文化が出来上がったのだろう。

同じ言語を使うことで、コミュニティの形成や意思疎通が格段に楽になる。

同時に同じレベル感の人間か、を選別する機能も果たす。

それに加えて、高いレベルで仕事をしている、という同族意識や、欧米に対する信仰心の同居も、同時に実現している。

世界を見ている、大きなスケールでものを見てるんだぞ、という無意識のプライドもある。

言葉は文化。同じようなことばを使う人が、おなじような思想や行動を取る。

同一性を維持する力は、異質をはじく性質も持つ。

これは二面性を持つ世界の、どうしようもない必然だ。

この二面性があること、同一性を異質性を認識しているかどうかが分かれ目。

文化の違いがあること。コミュニケーションの取り方が違う領域に住んでいる人がいること。

この認識がある人は、違う文化圏の人を嗅ぎ分ける力があるし、それに合わせて語り口を変えることができる。 カタカナ言葉が出てきても、嫌みがない。

一方でこの認識がない人の放つ言葉は、違和感満載。

自分の見ている世界が全て。世の中の「正しい」が自分にある。という無意識のバイアスに、とても違和感を感じてしまう。

今日の彼は、まさに後者だな。

色んな場所で経験を積んでいくことで、多分彼にも気づきがあるんだろう。

そして上手くコミュニケーションを取る力が身につくんだろうな。 頑張れ。

にしても、自分は横文字バリバリ君は苦手。 単純に「日本語喋れよ」と思ってしまう。(笑)

日本語好きなので。

  歌の歌詞が日本語純度めちゃ高いサンボマスターさん、大好き。

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